在宅復帰を目的とした施設
老人保健施設は入院していた人が退院後、在宅復帰するまでの間に入居する施設です。介護保険が適用される公的な施設で、介護・看護サービスや医師によるサポートを受けられます。専門スタッフによるリハビリを実施し、在宅での生活に必要な機能を取り戻すことを目的としています。「入院は必要ないものの、すぐ自宅に戻るのは不安」という人が利用することになります。
機能訓練室などの設備が充実しており、リハビリに必要な器具が揃っています。キッチンやトイレ、浴室、食堂、リビングなどの生活をする上で必要な設備も揃っていますが、基本的にすべて共有となります。居室の形態は2~4人で大きな部屋を共同利用する「従来型多床室」と、1つの部屋を1人で利用する「従来型個室」、個室と共有スペースがセットになっている「ユニット型個室」があります。現状ほとんどの施設は従来型多床室ですが、これからはユニット型個室へ移行していくことが予想されます。
老人保健施設では理学療法士や管理栄養士による利用者へのサポートを行っており、個々の状況に応じたリハビリサービスを受けられます。リハビリを必要とする人を対象にしているので、医療ケアが必要な人も幅広く受け入れています。床ずれ予防やたん吸引などのケアを必要とする人も入居可能です。
入居者100人あたり最低1人の医師が常駐しており、医療ケアや健康管理、緊急時対応などを行います。特別養護老人ホームとは違い常勤の医師がいるので、細かな医学管理の実施を可能としています。
リハビリは1週間のうち最低2回は行います。リハビリ1回の時間は20~30分程度です。希望すれば週3回以上のペースで受けることもできます。ベッドから起き上がり車椅子に移乗する訓練や自力歩行の訓練などを行います。
医師・看護師によるサービスとしては、たん吸引やインスリン注射、経管栄養などが挙げられます。医師・看護師が常駐している時間帯は施設によって異なります。
介護関連では食事・入浴・排せつの介助など、状況に応じた介護サービスを受けられます。掃除や洗濯、買い物などの生活支援サービスも利用可能です。
定員100人を超える老人保健施設には栄養士の配置が義務づけられています。食事の献立は栄養士による監修の下で決められます。持病や嚥下能力に応じた食事も用意しているので、食べる力が衰えている高齢者でも安心して食事をすることができます。